倒壊した家屋が残る災害現場で、がれきの撤去作業をするボランティアたち=2024年5月1日午前9時34分、石川県珠洲市、水野義則撮影
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 能登半島地震から4カ月の1日、被災地で多くのボランティアが汗を流した。石川県の馳浩知事はこの日、ボランティアについて報道陣に「圧倒的にボリュームが足りない。倒壊した家屋があまりにも多い」と語った。発災直後は「個別のボランティアは控えて」と発信していた。

 1日、石川県珠洲市三崎町。地震でため池が壊れ、水を張れない状態の田んぼが広がる。

 激しい揺れで倒壊し、黒瓦の屋根を地面につけたままの家屋が点在する集落で、黄色いビブスをつけた大学生らのボランティアが朝から動き回った。

 崩れた納屋を取り壊し、木材を運び出す。がれきの破片を掘り起こし、瓦、木材、ガラスなどに分別。軽トラックへ運ぶ。

 発災直後から現地入りしてきた公益財団法人・日本財団ボランティアセンターが今回、1回の参加人数としては最大の30人を投入した。大型連休でようやく参加できたという学生の姿が目立つ。

 さいたま市の大学2年生、谷田部(やたべ)陽菜(ひな)さん(19)は「昨日は15人がかりで3時間かけてやっと一つの家の瓦をはがした。ご高齢の方が自分で片付けるのは大変」。家主の畠田豊作さん(79)は「私ら1人や2人でやっても全然進まん。隅から隅まできれいにしてくれて本当にありがたい」と喜んだ。

 日本財団ボラセンの沢渡(さわたり)一登(かずと)さん(41)は「このあたりは解体が進まず、全然、景色が変わらない。住民の方がどこから手をつければいいかわからないときに、学生たちががんばって目に見える形できれいにすることで、もう一度がんばろうと前を向けるような気持ちになってもらえれば」と話した。

珠洲市社会福祉協議会によると、4月27~30日のボランティア数は計736人。前週の同じ曜日の4日間は379人で、2倍近くに増えた。担当者は「日常生活を取り戻すことにご協力いただき、感謝しかない」と話す。

4月、変わった知事の態度

 石川県によると、大型連休前の4月23日までの時点で、県のボランティア特設サイトに3万8600人が登録し、市町の独自募集と合わせて延べ7万921人が活動した。兵庫、熊本両県によると阪神大震災のボランティアは発災3カ月で約117万人、熊本地震は同約10万1千人で、能登はまだ少ない。

 「能登に向かう道路が渋滞で困っている。個別のボランティアは控えて」。馳浩知事は1月5日、県の災害対策本部員会議でそう発信した。

ボランティアに来ないで――。ネット上では、そんな言葉も飛び交いました。手放しで呼びかけられなかった事情と、被災地でのいまのニーズとは。

 道路の寸断が激しく、宿泊施…

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